2012年10月31日水曜日

クラッシュオブカルチャー

クラッシュオブカルチャー(Clash of Cultures





エッセン2012の「個人的」最注目作。ドイツまでアメゲーを買いにいった馬鹿なニンゲンです。

デザイナーは「海賊と商人」のChris Quilliams、パブリッシャーは同じくZ-MAN。内容は鉄器時代までのCivilization系で、公称プレイ時間は240分。ギークな方たちの間でも好むひとが多いのが「中量級」Civ.ゲームだということもあり、BGGでは発売前からけっこうな注目を集めていた(この種のゲームは4時間でも中量級なのですね)。

わたしもこの手のゲームは大好きで、当然チェックしていたし、事前にルールも読んだし、プレオーダーもした(なんと80ドルだ)。しかしルール読みの時点で若干の不安があったのである。なぜって、あまりにもすらすらと読めすぎて、全く意外性がないのだ。それはつまり、このゲームの売り、他を差し置いてもこれをやろうじゃないかという気にさせるような個性がないことを意味する。


しかしゲームはやってみないとわからない。それにこの箱絵、じつに良いではないか。まさに「文化の衝突」である。ぞくっとくるではないか。というわけでナガミネさん、たむらさん、つなきさんと。

都市1つと開拓民1人を持ってゲーム開始。

インストは30分で終わってしまった。この手のゲームに慣れている人なら、ほんとうにすんなりと飲み込めてしまう。

勝利条件はゲーム終了時に最多得点をもっていること。点は自分の都市に建てた建物から得られる。建物は数種類あるが、どれも1つにつき1点。その他に目標カードというものがあり、毎ラウンド1枚ずつドローする。そこにはゲーム中に達成すべき目標が書かれていて、達成したら公開する。1枚につき2点。それと、建てるのに相当の資源が必要なワンダーがある。1枚5点。

目標カード。上下のどちらかを達成すれば2点。

ゲーム終了までのラウンド数は6ラウンドと決まっている。1ラウンドの各プレイヤーの手番は3回ずつ、1手番で3アクション。つまりゲーム終了時までのプレイヤー1人のアクション数は54回だ。なんて長さだ、と思うかも知れないが、アクション1つ1つは細分化されている(これによってダウンタイムを抑えている)ので、むしろやりたいことの多さに比してアクション数が全く足りない感じだ。

サマリーボード。わかりやすい。

1アクションでできることは「進歩」(いわゆるテクノロジー)開発、都市設立、ユニット移動、人心慰撫、文化影響、都市アクションの5つ。都市アクションとは自分の所持する都市1つを選んで行うアクションで、資源採集、ユニット作成、建築のどれかが行える。1手番で同じアクションをどれだけ行なっても構わないが、都市アクションは少々特殊で、同一手番で同一都市を複数回アクティベートすると、その度ごとに住民の不満が増していく。人心状態は「満足」「普通」「怒り」の3段階で、怒りに陥った都市は1手番で1回の都市アクションしか行えなくなってしまうし、都市サイズ(後述)は1として扱う。これを回復するのが「人心慰撫」アクションだ。

都市サイズとはその都市に建てられている建物数のことで、都市設立当初は家が1個だけなのでサイズ1だ。これが大きいと1アクションで収集できる資源数や、買えるユニット数が上がる。家以外の建物は港、神殿、砦、学院の4つ。同一都市に同一建物を2つ以上建てられないので、都市のサイズ上限は5である。

他に毎ラウンドもらえるアクションカードがある。これはアクションとして使うものもあれば、フリーアクションとして使えるものもある。

アクションカード。下部は戦闘時使用の効果。

3手番ずつ行うと1ラウンド終了。ここでステータスフェイズというものがあり、各プレイヤーは達成した目標カードを公開したり、無料で進歩を開発したり、スタートプレイヤーが変わったりする。

個人ボード。全進歩が一覧できる。

「進歩」はプレイヤーボードにすべて記されており、開発したら各マスにキューブを置く。全進歩は12の分野にわかれていて、ある分野の進歩を開発するときは、1番上列のものをまず開発しなければならない。1番上の進歩があれば、あとはその分野のどれを開発してもよい。政治体制の進歩のみ特殊で、同時にとれる進歩はどれか1分野に限定される。たとえば民主制分野の進歩を持つプレイヤーが専制に移行する場合、民主制のキューブをすべて専制に移動する。


ゲーム開始直後は、みなが都市を建てることになるだろう。というのもプレイヤーの持てる都市サイズの上限は、そのプレイヤーの持つ都市数と同数に制限されるからだ。都市を2個にしてやっと、都市のサイズを2にできるわけだ。

というわけでみながいそいそと都市を1つ2つと増やすことに専念し、世界は全く広がる気配を見せなかった。ゲームマップはヘクスが4つつながったタイルがセットアップ時に裏向きに配置され、ユニットが入ると同時に表向けられる。

しかしさすがにタイル1枚では手狭だし、都市がくっつきあっていると資源収集の面であまりいいことがない。隣のタイルに開拓民を移動させる。と、蛮族が現れた。蛮族は肥沃な土地を多く含むタイルには必ず登場し、イベントやアクションカード効果によって数を増やしたり襲ってきたりする。ゲーム開始時は兵士を1人も持っていないので、かなり危うい状態だ。

兵士をつくって蛮族を攻撃する。戦闘ルールは単純で、1ユニットごとにダイスを1個ふって、合計を5で割った数分だけ相手ユニットを減らす。他にアクションカードを戦闘カードとして使える。戦闘後、敵都市に自分のユニットしかなければそこを占領し、自分のものにできる。これは対蛮族でも同じで、蛮族の家を奪える。



そうこうしているうちにすでに2ラウンドが過ぎた。いにしえのときの流れはたゆたうように緩慢として、すでにかなりの進歩があるが、効果はさほど強くはない。しかしそこに容赦なくイベントがおそってくる。進歩を開発するとワンダー建築や文化影響アクションに使用する文化トークン、および人心慰撫に使うムードトークンの所持上限数が増えるのだが、この増加によってイベントが発動するのだ。そしてこのイベント、7割くらいはろくなことがおこらない。蛮族がおそってきたり都市サイズが下がったり住民が怒り出したりする。しかし2金もらえるだけ、なんてのもあって、完全に引き運だ。

引き運といえばアクションカードもそうで、むしろこちらのほうがひどいかも知れない。他プレイヤーの進歩を無償で、しかもノーアクションでコピーするという凶悪カードもあれば、くその役にも立たないカードもある。進歩コピーのカードを序盤で手に入れれば相当なアドバンテージを得るだろう。

世界が見えはじめた。船はお金も稼げて便利。

中盤を迎え、さすがに世界がその姿を現しだした。この世界は海洋で分断されており、私の地はまさに辺境といっていい。しかしこれは良いことで、敵の軍勢におびえることなくまったりと都市をつくっていける。

そしてこのころから進歩コンボが回りだしてなにかすごいことに……、ならなかった。やはり青銅器から鉄器時代の進歩はちまちまとしており、もう名前を出してしまうがFFGのSid Meier's Civilizationの拡大再生産ぶりに比較すると、じつにとろくさい感じである。序盤と比して、やっていることがそう変わっている気がしない。「進歩」をあまり感じないのだ。

とり方が下手ってのもあるだろうが、これだけとっても地味な発展感。

ときは終盤となり、みながワンダーを建て始める。わたしは相変わらず辺境で平和国家運営に勤しんでいたが、たむら国は軍拡を選択、最強武器・鉄器を手に入れた。そして最終2ラウンドで周辺国家を蹂躙しはじめた。都市が2つ、堕ちた。おお恐ろしい。

建てるのが大変なワンダー。名前が実にそっけない。

軍事的に立ち向かえない相手から点を奪うために、「文化影響」アクションというものがある。自分の都市サイズ以内の距離の相手都市を指定し、ダイスロールに成功すれば(文化トークンによる修正有り)、その都市の相手建物1つを自分のものにできる。しかしこれはゲーム中は相手の建物として扱い、なんら機能的制約を受けない。あくまでもゲーム終了時にこちらの点として換算するだけなのだ。しかも1手番で1回しか成功できない。1アクション(以上)を消費して、敵から1点を奪い、こちらは1点を得る。しかし建物の機能は敵のもの。これじゃあ自分の建物を建てた方がいいんじゃないの? となるだろう。実際、最終盤に入るまで、だれもこのアクションをとらなかった。


ゲーム終了時の得点が見えすぎるという問題もある。最終ラウンドに後手番で、勝利に絡んでいない人は、望む望まざるに関わらずキングメイク的行動をとらざるを得ない。一応最終ラウンドが終わった後に達成目標カード公開があるので、少しは緩和されはするのだが。そうそう、この目標カードの引き運もかなりのものだ。すべて一律2点なのに、達成難度が10倍くらい違う。最終得点は34対33だかでたむらさん1位、わたしが2位だった(蹂躙されなかっただけ)が、この程度しか稼げないゲームで、得点に関わるカードが引き運に相当に依存するというのは、はたしてどうなのか。

終了時。地図にまだ空白地が。

終了後のみなの感想は、「もっさりしたCivilization」で一致した。文明が発展していくドライブ感はほとんどなく、古代世界の地味な進歩をちまちま行いつつ、天変地異(カード)の引き運に苦しめられるゲームである。はっきりいって、これをやるならFFGCiv.をやる。もしあなたがFFGCiv.をやったことがなくてこれをやろうというのなら、絶対におすすめしない。FFGCiv.はもう何度もやりました。食傷しました。文明ゲームならどんなのでも大好きです。珍味もいいじゃない。というのなら、1度試してみる価値は、ないわけではない。相当にこき下ろしたが、Through the AgesやFFGCiv.という傑作が同時代にあるからいけないのであって、虚心に単体として見れば、そう捨てたものではない。各進歩の連関に慣れれば、そこまで派手ではないだろうが、それでもある程度の発展感は味わえるはずだ。イベントカードを抜くというオプションルールもちゃんとある。


そう、なのでわたしは2回目をやりたいのです。つきあってくれるひとを募集しておりますよ。

2012年10月28日日曜日

(株)ゴブリンズ

(株)ゴブリンズ(Goblins, Inc.




たむらさん、ナガミネさん、つなきさんと。ナガミネさんルール直読みでプレイ。その間残りの人間はまったり雑談。お疲れ様でございました。


Czech Games Editionのエッセン2012新作。ギャラクシートラッカーの流れをくむ作品だが、デザイナーは新人のFilip Neduk。

プレイヤーは2対2のチームに分かれ、タイル配置で自チームのロボットをつくり、それを戦わせて勝利点を稼ぐ。置くタイルはGTのような早取りではなく、1チーム10枚(1人5枚)で4枚(2枚)を相手チームと交換する。しかしチーム内相談は禁止なので、配置で2人の思惑がうまくはまらなかっりするといびつなロボットができあがってしまう。戦闘時はそれぞれ砲手とドライバーを担当するが、これもテレパシーが失敗するととんでもないダメージをくらったりする。しかしそれが楽しい。どちらかの勝利が確定したら、チームを組み直してもう1戦。個人得点の高いプレイヤーが勝利。

チーム戦でも得点は個人に入るというのがみそで、各プレイヤーはそれぞれ目的カードを4枚持ち、それによって戦闘終了時に点を得る。「敵のエンジンを2枚破壊するごとに3点」とか、「自分の武器を3枚守るごとに2点」などなど。

なのでチーム内ですでに目標がばらばらなこともあるわけで、たとえばペインティングのタイルは性能上なんの役にも立たないのだが、これを守ると点が入るカードを持っていれば、破壊されにくいロボット内部に配置したりする。とうぜんロボットは弱くなり、パートナーの不興と不信を買うことになる。繰り返すが、しかしそれが楽しい。

画像はBGGから。

1戦目はつなきさんとペア。タイル配置に失敗して弱っちいロボットができあがった時点でこりゃまずいと思い、「負けると4点」カードを手に残す。われらが「ヤマト」(勝手に名付けた)は奮戦したが残りタイル数の差で惜しくも敗戦。負けに賭けた4点や「破壊達成」カードなどでちまちま得点したが、勝利チームは自軍の生き残り乗員数に応じて点が入るので、すでにけっこうな差をつけられる。さすがに自チームが勝たないとだめなようだ。

2戦目はたむらさんとペア。戦闘ごとに変わるタイル配置制限できついものが出て、ウィークポイントが多数あるはりぼてロボットができあがる。しかし火力は十分。おまけに相手に多数渡したペインティングタイルのおかげで、どう見ても性能はこちらが勝っている。これは勝てる!

砲手はわたし。一気に勝負を決めてやるぜと最重要装備であるエンジンを狙う。しかしこれがどうしようもない失着で、さすがにはりぼてとはいえ敵もさるもの、機関部には装甲をほどこしてあるし、ボーナスタイル(毎ラウンド3枚オープンされ、ここから自チームの特殊能力を選択する)で追加装甲まではりつけられ、少々の傷をつけただけで終わってしまう。

対する相手はダイスの走りもよく、圧倒的火力がわれらがロボット「ムサシ」(いま名付けた)の上に降り注ぐ。アキレス腱と弁慶の泣き所を破壊され、なんと1ラウンドで全体タイルの半分近くを失ってしまい、この時点で敗北確定となった。3度目だが、しかしそれが楽しい(たむらさんには悪かったけど)。言い換えれば、こういうはちゃめちゃを「楽しい」と思えなければ、このゲームに向いてはいないだろう。



テーマもアートワークもよく(難を言えばロボットを戦わせている感じはあまりせず、戦艦で撃ち合っている気分だったが)、基本的にはバカゲーぽいのだが、それでもしっかりと「ゲーム」になっている、こういう作品はけっこう貴重だ。Cryptozoic(Food Fight、Epic Spell Wars)のゲーム(除デックビルド)がまさにそうで、アメゲーを引き合いに出すとCGEファンの不興を買うかも知れないが、あそこのゲームが好きなら、これも間違いなく楽しめると思う。世界はつながっているのだ。



日本ではホビージャパンによる輸入発売が決定している。恐らくゲームマーケット2012か、そうでなくても年内には売りだされるのではなかろうか。

テラミスティカ会

エッセンシュピールから帰国したのが当日の午後1時。いったん帰宅した後、テラミスティカをやるためだけに集まる人たち。どう見てもあまりおりこうではない。



テラミスティカ(Terra Mystica



シミズさん、タナカマさんと。エッセン2012、スカウトアクション2位の話題作。デザイナーはJens Drogemuller(ツァヴァンドールの笏の人)とHelge Ostertag(カイヴァイの人)。パブリッシャーはこのゲームのために設立されたFeuerland Spieleで、創立者のFrank Heerenはウヴェ・ローゼンベルクの旧友。それでだろうが、ウヴェ様がディベロプメントを担当している(たぶん)。

このゲームを一言で説明するのは難しい。なにしろいろいろな要素がこれでもかと詰まっていて、しかもその要素のひとつひとつが実に憎いしかけに満ちていて、びっくりおもちゃ箱である。プレイヤーがさまざまな種族を担当し、生息域を拡大していくというのが恐らくメインテーマだが、種族によってはその陣取り部分にあまりリソースを割かない方が勝利が近くなるので、「そういうゲームです」とも言い難い。

1つだけはっきりと言えるのは、これはまぎれもない重量級ユーロゲームだということだ。複雑さの袋小路へと突き進むユーロゲームの、最先端の果実である。さまざまな仕掛け、無数の勝利点獲得法、とりうるアクションの数はそれほど多くはないが、それでも少なくはない。

いくら洒落た仕掛けでも多すぎれば見通しは悪くなり、得点機会が多岐にわたると「なにをやっても点になる決断レスゲー」になる危険がある。つまりなんだかよくわからなくなる。このゲームの凄いところは、その危険を回避し、多すぎる要素をしっかりとまとめあげているところだ。

そのため、担当する種族ごとに能力が相当に異なっている。多数用意された得点機会のうちから、種族別に勝利へのルートをある程度限定することで見通しをよくしている。得点機会のほとんどがゲーム終了時ではなくゲーム中にあり、個々の得点は少量なので、なにをしたら良いか手につかないところがあるのだが、種族特性から自然と絞り込めるようになっている。これをシステムによる強制的なものとして好まない人もいるだろうが、そもそも全体の得点機会の多さがこれと噛み合うようにつくられたものだろう。アメゲーなどの非対称陣営ものに似たようなものはあるが、ユーロでここまで徹底しているものはそうはないと思う。

極端に言ってしまえば、種族ごとにかなり別なことをしている感がある。それだとソロプレイ感が強くなるのかと言えば、全くそんなことはない。あるアクションに必要なパワーをためるには「自分の建物に隣接した場所に、他人に建物を建ててもらう」必要があるし、カルトトラックは全員の競争であり、これに少しは絡んでいないと勝てない。しかしカルトトラックの進め方は一様ではないのだ。


というのはゲーム終了時の感想で、実際のプレイは疲労困憊だったこともあって無駄なアクションをけっこうとってしまって無残なものだった。勝ったのは同じくへろへろだったはずのタナカマさん。魔女を見事に操縦していたるところに館を築き、街をつくっては点をもらっていた。


これは一本筋の通った「キレ味のよい」ゲームではない。洒落たパーツをこれでもかと投入し、ともすれば野暮になりそうなところを、その一歩手前で見事にまとめあげた、なんだろう、鍋焼きうどんみたいなゲームだ。良い例えが思いつかなかったが、とにかく、一度やってみる価値は十分にあるし、一度やったら、はやく他の種族でやりたくなるだろう。






クー(Coup


イギリスの家族経営小パブリッシャーのゲームで、エッセン2012出展品。ラブレターにお金と正体隠匿を加えた感じ。対応人数が広いのだが、少人数でもカードを抜いたりしないので、いろいろアレンジして遊んでみた。粗さも目立つが、軽く遊ぶには実に良い。笑いも絶えない。

2012年10月10日水曜日

ダンジョンペッツ会

今年のエッセンが始まる前に去年の話題作を消化しておきたい、などという馬鹿げた強迫観念は犬にでも喰わせてやるべきだが、しかしなかなか捨てきれない。たびたび「ペッツペッツ」とつぶやいていたら、「かわいそうだからやらせてあげよう」ということになった。持つべきものはゲーム仲間である。



ティータイム(Tea Time

もう1人を待つあいだ、たむらさん、シミズさんと。



オルネラの最新作は『ふしぎの国のアリス』を舞台にしたカードゲーム。イスタリから出したOzといい、原作ものに触手を伸ばしつつあるのだろうか。

ルールは非常に簡単で、毎ラウンド4×4の格子状にカードが配置され、そこから手番順にとっていくだけのセットコレクション。とり方は単独1枚、連続2枚、連続3枚のいずれか。カードは6人のキャラクター別に8枚ずつだ。3ラウンドやった後、各キャラごとに1枚1点、以下3点、6点、10点、15点となる。0枚が5点になるので、2枚までならとらない方がお得。

ただし各カードは両面仕様で、裏表ともにキャラは同一だが額縁の有無の違いがあり、この2種をともに手に入れると1対1で相殺してしまう。少ない枚数ならとらない方がましなので、狙って相殺させることもたびたび起こる。

これでわかるようにこれ以上ないくらい軽いゲームだ。でもちょっとした悩みどころもあるし、なによりカード絵の雰囲気がすばらしい。とくにアリスがかわいいのだが、上の写真では全くわからないので、BGGから引っ張ってきたのを下に貼っておく。


題名のとおり、ティータイムのおともにふさわしいゲーム。でもアフタヌーンティを習慣にするような人とボードゲーム好きとの距離は相当遠い気もするけれど。あと他人干渉が直接的でわかりやすいので、おっかない人とはやるべきではないかも知れない。





ダンジョンペッツ(Dungeon Petz

ヒガさんが加わり、メインへ。




最近は人気ナンバーワンデザイナーの呼び声も高い、フバティルの2011年エッセン新作。ダンジョンロードと世界をともにしているが、内容は全くのべつもので、モンスターを買って育てて売るゲームだ。

フバティルといえば複雑、というのはよく言われることだが、このゲームもそうとしか言いようがない。だがいわゆる複雑ゲームとはカテゴリーからして異なる。どこが中心かもわからない迷宮のような複雑さではなく、本筋にはすっきりと一本の線が通っている。複雑なのは枝葉の部分で、ここは確かにリファレンスが必要だ。だが本筋・枝葉ともにゲームシステムが1つの世界のうちに系統だってまとめられているため、実に理解しやすいものに仕上がっている。とくに目新しいしかけはない(基本的にはワーカープレイスメント)のだが、このテーマ世界内のまとまりの良さは特筆ものだ。

なのでその職人技を鑑賞できただけで、わたしは十分に満足したのである。わがペットがエサを与えられず、不潔で、スキンシップ不足なことに顧客が不快感を示し、哀れ二束三文で買われていき、ぶっちぎり最下位に終わったことなどは、瑣末なことでしかないのだ。たまに良質なゲームに出会うのは、実にたまらない。これが本当に「たまに」なのが、またたまらないのだ。




ところで今回は某ボードゲームのできるカフェでプレイしたのだが、このゲームのモンスターはフンをするのである。で、当然のごとくわれわれはフンをフンなどといわずうんこというわけである。「うんこがあるとマイナス◯点だよ」とか「このうんこはこれで相殺」とか「うんこうんこうんこ」などという発言が飛び交う飲食店というのは実に如何なものかと思う。すみませんでした。

2012年10月4日木曜日

平日ゲーム会はしご(アンデアン・アビス、5th Street Games特集)

私は夜型人間だ。ゲーム会は基本午後から、どうせなら昼過ぎから、もっと言えば夜から、理想を言えば深夜からが最高だ。麻雀漬けだったころ、午後11時から午前7時くらいまでの東風戦24回セットというのをよくやったが、そういうゲーム会がないものだろうか。

アンデアン・アビス(Andean Abyss


しかしアビスがまたできるとなれば、当然寝る時間を調整しても参加なのだ。旅団長閣下、つなきさんと。いつもありがとうございます。

今回は3人戦なので麻薬組織はノンプレイヤー扱いとなり、自動アルゴリズムによって動かされる。私は政府を担当。しかし政府と前回担当した反政府組織とでは基本的な動きから全く異なっており(Labyrinthと同じく、恐ろしいほど非対称的なのだ)、なんかよくわからない間に不利なイベントが2つ発動されて手錠と首輪をはめられ、焦りから近視眼的に対処していくうちに首輪がぎゅんぎゅんと締まり、そうこうしているうちにテロが各地で頻発し、3回目のプロパガンダ後には深刻な資金難に陥ってしまった。

終了まで6時間かかったが、勝者はNPFの麻薬組織であった。わが政府は実に不甲斐なかった。猛省。




外に出ると、そこは既に夕闇が迫っていた。駅前の中華料理屋で油淋鶏定食を食し、敗戦の味を鶏肉とともに無理矢理胃中に押しやって、私は次の場所に向かうのだった。




ニューロシマ・ヘクス:スティールポリス(Neuroshima Hex Steel Police


オビ湾卿と。

ポーランド産ボードゲームの傑作、ニューロシマ・ヘクスの最新拡張。以前iPhone版でそれなりにやり込んではいたのだが、そんなのは屁にもならなかった。担当したダンサーという陣営が一癖どころか十癖くらいある難儀な奴らで、なんと全部で3ユニットしかないのである。1ユニット10HP持ちで、1ユニットでも死んだら負け。手持ちのチップは全部アクションで、移動しまくってなんとかせいということのようだ。

しかし相手の鋼鉄警察というのはHQのHPを1減らすと任意のユニットにネットをかけられるという強烈能力もちで、しかもそのHP減少を0にするモジュールが早々に配置されてしまい、そいつを壊そうにも初期配置を隅にしてしまったせいであまりにも遠く、恐らく最初の3ターンほどで勝敗は決していたのだなと、今にして思う。

久々にニューロシマヘクスをやったが、おまけに惨敗したが、2人用ゲームでは屈指の作であることを再認識した。iPadを持ち歩いていればいつでもどこでも2人対戦ができるというのも素晴らしい。あ、でもこの拡張はまだiOS版は出ていないのだけど。



ファーマゲドン(Farmageddon


タムラさんが加わり、3人で。

先週(だったと思う)、この会でカラスと水差し(The Crow and the Pitcher)というトリックテイキングをやったが、それと同じパブリッシャー(5th Street Games)の最新作である。もともとはThe Game Crafter(アメリカの万印堂みたいなとこ。同人ゲームの制作・通販を行っている)で売られていたものだが、それをこの会社が拾ってKickstarterにかけ、大量のバックを得て販売に至った。ボードゲームの今を象徴するようなゲームだ。

しかし内容は「今」とはとても言い難く、とんでもアクションカードが飛び交うはちゃめちゃゲームだ。プレイヤーの目的はボーナンザのように畑に作物を植えて収穫することなのだが、1ラウンドの間畑を持ち続けていることが非常に困難で、奪われたり枯らされたり農薬を撒かれたりウンコを盛られたりしてしまう。自分の畑を育てるゲームというより、他人の畑を奪い取るゲームと言ったほうが良い。つまり奪うカードをひけないとかなり厳しいことになる。

ただし、残念ながらルールをミスってしまい、本来は手番でアクションカードを2枚までしか使えないのだが、無制限使用OKにしていた。これでカードマネジメント要素が相当薄くなってしまったということはあるだろう。


キャッスルダッシュ(Castle Dash



5th Street Gamesからもう1本投入。ここのBGG登録作のうち現在発売されているものは4作なので、これで75%を制覇したことになる。

ファーマゲドンが香辛料大量添加ゲームだとしたら、こちらは草を生で食むようなゲームであった。基本的なアイデアをそのまま製品にしたような感じで、調理過程が0に近い。1つだけ挙げれば、ワーカーマネジメントが骨子で1個2個が大事なリソースなのに、ワーカー数にダイスロールをそのまま加えるのはいかんだろう。人これを蛇足という。しかもその蛇にはうろことかいろんなものがまだ付いていないのだ。




帰宅して、シャワーを浴びる。身体をふいていると、タオルに赤い染みがついていた。数年ぶりの鼻血だった。なにかの負荷が限界を超えたのだろう。ゲームはときに、身体を蝕む。おそろしい趣味である。

2012年10月1日月曜日

週末ゲーム会(マリア、レガシー、祈り働け)

金曜のアビス会を含め、3日連続のゲーム会。総時間はそんなに長くはなかったけれど、もともと体力のないこともあって疲労困憊。


2日目 一味さん、つなきさんと。

マリア(Maria


オーストリア継承戦争を舞台にした、3人ゲームの大傑作。ジャンル的にはウォーゲームになるが、ルールは非常に解りやすいので、私のような素人も安心。

一般に3人での殴り合いゲームは、2人がケンカを始めるともう1人が有利になってしまうので難しいとされる。と言うよりも、3人以上ならこういったマルチ的な問題は常にあるものだが、3人の場合が最も先鋭化しやすい。この解決のためルール的な束縛を化したり、攻撃要素をベールに包んで曖昧化したり、もしくはプレイヤーの配慮に任せたりし、その程度に応じて「直接攻撃ゲーム」だの「マルチゲーム」だの「ソロプレイ感覚が強い」だのと言われることになる。

「マルチウォー」であるこのゲームでは、システム的な工夫によってプレイヤーが自然に「マルチ的配慮」を行えるようになっている。マップが大きく2つに分割されており、一方ではオーストリアにフランスとプロイセンが侵攻し、もう一方ではオーストリア・国事軍とフランスが戦っている。プレイヤーの担当国は各々オーストリア、フランス、プロイセン+国事軍で、つまりプロイセンプレイヤーは一方ではオーストリアと戦い、もう一方ではフランスと戦うのだ。これを生かして、片方のマップでフランスが優位に展開しているときはもう一方でフランスを叩いてそちらにリソースを割かせるし、その逆もまた然りとなる。

他にもトランプスートを使った戦闘(戦闘場所に合わせて使用スートが変わる)の明快さと奥深さや、政治的交渉・契約の妙など、美点は枚挙に暇がない。4時間超かかったが、全くだれることがなかった。

レガシー 時の歯車(Legacy: Gears of Time


正直言ってKickstarterで良い目を見たことはあまりない。バックしてから届くまでのあいだに日本語版発売が発表されたり、もう店で売っているのにこちとらの家には届いていなかったり、だめだめなゲームだったり、そんなのばっかりである。しかしこいつは久々の当たりだった。

過去へと航行し、技術を開発するのが目的。各技術カードの絵がなんとも面妖なのがまず良い。ただしカード質はあまり良くないので、気にする人はスリーヴ必須だろう。キック版にはプロモカードとしてGenConやKickstarterが入っている。Kickstarterはインターネットの先の技術で、17点を誇る最強カードだ。

技術を確立するには前提技術が前時代にあることが条件で、当然高い技術ほど前提技術が多いので、新しい時代に開発しなければならない。しかし時代が新しいほど置ける技術数は少なくなる。では先手番の方が有利かといえば、このゲーム、ラウンド中に過去方向にしか進めないので、高い技術を置いたあとに過去へさかのぼり、必要な前提技術をちまちま作っていると、後から来たやつに高い技術を乗っ取られたりする。このへんが実にいやらしい。

公式プレイ時間は75分だし、アートワークはふざけているしでまったり軽ゲーかといえばさにあらず、相当に「重い」ゲームだ。断言するが、75分では絶対に終わらない。それに技術連関を理解して、カードをとっておいたり先を見据えてプレイできるようになるまでは2回ほどやらねばならないので(私は2回やったけどいまだによくわからない)、結構なやり込みゲームでもある。

インスト込みで2時間かかった。マリアでぽえぽえした頭を優しく癒すためのゲームだったのだが、疲労度ではマリアを上回ったかも知れない。



3日目 PHYさん、たむらさん、つなきさんと

祈り働け(Ora et Labora

このプレイヤーは私ではございません。私はダメダメでした。

連日ゲームに疲れてお寝坊。午後から向かったら3人でレガシーのプレイ中だった。かなりの好評で、みんないやらしいゲームが好きなのですね。

それでやったのがこれ。いわゆる矢印ゲーム(リソースマネジメントおよびリソース変換)の今期最右翼だろう。私の最も苦手なジャンルで、矢印1本ならまだしも2本出てきたらもうぱっぱらぱーだ。でも苦手と面白さとは別問題。しっかりと面白いゲームだった。4人でインスト込み3時間ほどで終わったので、噂に聞いていたほど長時間じゃないのも良かった。

じゃあまたやる? と言われたら相当な気合が必要になりそうだけど。