2013年1月28日月曜日

ソードフィッシュ会

ゲーム会の記録を書くときに困るのが表題をどうするかであって、月末や週末ゲーム会とつけるのはつまり記録者がその会を定期的に行っておりなかば固有名詞化しているから成り立つので、単に週末にやったから週末、平日にやったから平日ではほぼ意味をなさないことは明白であるが、かといって他になにか良い案が浮かぶでもなく、結局のところその日にやった最も印象深いゲームの名を冠せば、後で記憶のよすがをたどるにも至便ではないかと思いいたり、そういうわけでこんな題名になった。

ふうかさん、かろくさんと。


ソードフィッシュ(Swordfish)


詳細はここが解りやすい。

奇ゲームであるルパン三世を生み出したパブリッシャーの新作であり、別の意味で期待が高まるところだが、良い意味で裏切られた。直観的に把握しやすいルールがまず素晴らしく、テーベ的タイルひきやダイスロールの運がカジキ釣りというテーマに実によく合っている。それでありながら結構な戦略性もある、もしくはあるように見える――タイル一発で深謀遠慮は瓦解する。だがそれが良い。――のもまた魅力だ。個人的にはこの日のベスト。


蟻の国(Myrmes)


プレイするのは2回目の、イスタリのエッセン2012新作。詳細は検索すれば大量に出てくるかと思う。ユーロゲーム豊作のなかにあって、キーフラワー、テラミスティカ、ツォルキン御三家の勢いにちと押されてはいるものの、完成度では1、2を誇るであろう良作。しかし地味であることは否めない。2ラウンド目にしていきなり資源超過を起こし、こういうタイトな計算能力を競うゲームはわたしは実に苦手であることが、今さらながらに痛感させられた。蟻とカジキでカジキの方が好きなひとはわたしの友である。


シティオブホラー(City of Horror)


ゾンビゲーの良作、モールオブホラーのリメイク。しかし特殊カードと特殊キャラクター能力をこれでもかと付け加え、それによってゾンビを殺したり他に追いやったりできる機会が多いので、前作の緊迫感、焦燥感のなかでのキリキリ交渉はほぼ無くなってしまい、代わりに(能力の乱舞に慣れれば)パーティゲーム的に楽しめる作品となった。しかし他人のキャラクター能力まで把握するのはさすがに面倒すぎはしないか。


星々のあいだで(Among the Stars)


ドラムロールのアルトピアの新作。要は宇宙7 Wondersだが、これをやるなら7 Wondersをやったほうが良いのは明白だろう。全ラウンドでひくカードをすべて1デックにまとめたおかげで戦術を近視眼的にせざるを得ず、くわえて失ったものに対して得たものは何もなく思える。他人の場を注視しなければならないゲームでテキストが多いのはマイナス要因といえばそうだが、Innovationのような傑作の例もあるので、要はそれを苦としないだけのポテンシャルがあるかどうかだろう。


わたしは集中力持続に問題があるので(身体も虚弱だが脳も脆弱で)、2時間クラスのゲームを1日で何個もまわすのが一番苦手なのだが、気心の知れた方々とゆったりとプレイする分にはそんなこともなく、言葉通り、あっという間の8時間だった。ありがとうございました。

2013年1月23日水曜日

第36回ビッグバントーナメント

1年以上におよぶ迷宮キングダムのキャンペーンがついに最終回を迎え、パーティ全滅という華々しい結末となった。1年とはいっても全8回であり、しかも前回との間が半年近く空いている。「毎週メンツを4人集める」のはまあ可能としても、「毎週どころか月2回でも、固定メンツを4人集める」のは実に困難であることがよくわかった。みなさん、特にGMさん、ありがとうございました。またやりましょう。

そして夕方からいつものごとくゲーム。

そしていつものごとく詳しくはこちら。
ビッグバントーナメント第三十六夜~マクラーとリースキング


サバービア(Suburbia)



なんと5回目。エッセン2012新作では一番遊んでいる。初めての3人プレイだったが、スピーディで良い。タイル引きやボーナスタイル引きがかなり「荒い」ので、さくっと終わるほうが向いている。このへんはキーフラワーにも通じるだろう。ところがタイルがよくきられていなかったようで同色が連続10枚で出てきたり、同種ばかりが出てきたりした。……ってタイル積んだのは私なのでした。どうもすみませんでした。

勝者は初プレイのナガミネさん。経験者顔色無し。


クロンダイク1896(Klondike 1896)


チェコゲームの雄、Vladimir Suchyの2011年作品。ファンのナガミネ兄が重ゲー期待で購入したが、対象年齢8歳以上という落ち。

テトリスタイルを競り落として自分のボードの左端から右端までつながるように置いていく。タイルが乗ったマスにあるシンボルに応じて金と勝利点が入る。誰かが右端に到達したら終わりで、到達できなかったプレイヤーは未到達1列ごとに減点。説明終わり。8歳以上向けらしいほのぼの競りだが、出てくるタイルはわかっているので、パズル脳特化人間がやったらなんか凄いことになるかも知れない。

上記は初級ルールなのだが、全く別ゲームと言っていい熟練ルールの方が面白そうだった。早い者勝ちで、お題カードの条件を満たすように自分のボードにタイルを置いていくアクションパズル。でもたぶん一生やれないだろう。別にいいですけれど。


ハットトリック

トリックテイク。なんかよくわからない。

マラケシュ(Marracash)

インストのみ。ドーラ1996年作。確かにガードレールが相当に低いので、早々に事故ると辛いかも。でもこういうゲームの方が好みだ。

2013年1月17日木曜日

1月上半期にやったゲームたち

もう一昨年のことになる。ゲーム会にいくのは月8回までにしようと決めた。しかしひとは弱い生き物である。快楽のためなら、いくらでも例外をつくりだせる。決まりはなし崩しとなっていった。

しかしながら現今の状況をかんがみるに、遊べるときに遊んでおけというのは、たぶん正しい。なのでわたしは今年も、つたない言い訳をつくりながら、遊んでいくだろう。とはいえ機会がなければ遊ぶこともできないのがこの趣味の特色であり、誘っていただく方々にはほんとうに感謝しかない。


クニツィア2人会
ヒロタシさんと。べつにクニツィア縛りにしたわけではなく、ただの偶然でそうなった。

元老院議員(古代ローマの新しいゲーム)×3
ハンニバル対ローマ(古代ローマの新しいゲーム)×3
B2F版で。どこを見ても傑作との評価しか聞かないゲーム。おまけにそのことばに偽りはない。ではあるが、疲れる。

アフリカ
ロンドン掠奪事件
ゾンビゲドン
一応2人でもできるのだが、真価を発揮するのは3人以上のときだろう。


ネットランナー会
ヒガさんと。

アンドロイド:ネットランナー×5
What Lies Aheadを入れて。1日中やっても多分飽きない。今年の2人ゲームはこれとメイジウォーズがあればいい。


クローストロフォビア×2
前からやってみたかった2人用短時間(1時間未満)ダンジョン戦闘対決ゲーム。ダイスの使い方に特徴がある。アクションが各々非対称なのが好み。ただタイルがでかすぎて日本の住宅事情にまったく合わないのが悲しい。おかげで箱がでかくなり、携帯もしにくくなっている。




スタートレーダー会
たむらさん、つなきさんと。

スタートレーダー
年末に2人で2回まわしていたが、3人戦は初。
1982年の雑誌付録ゲームながら、商業資本のうごきの再現度、とくに市場価格調整のメカニクスは一見の価値がある。極度に抽象化されたボードに多種多様な設定が埋め込まれており、そのかみ合いが想像をかきたて、没入感を増す。プレイ時間はときに8時間に及ぶが、グローバリゼーションが完遂され価格が平準化しきった場合を除き、だれることは全くない。年末から年初にかけての個人的ベスト。できればもっとプレイして、ちゃんとしたレポートを記念に残しておきたいのだけれど。




第34回ビッグバントーナメント
途中から参加。地獄の全体像と各ゲームの詳細は他参加者によるこちらを参照。丸投げはリソースマネジメントの基本だ。

マフィアダラー
苦行。なにかの間違いであることを切に願う。



男前動物園
苦行。しかしこれは間違いではない。そういうものなのだ。そしてそれならば、それで良い。


クレイジーキック
これが1番面白かったというのは敗北であると思う。なんに負けたのかはわからない。



ゲーム会で心を折られたのは初めてだった。

「良いゲームというのはプレイして面白いゲームのことさ」
――マルセル=アンドレ・カサソラ・メルクル(Win 444:12)


七王国の玉座会
つなきさん、オークボさん、たむらさん、ナガミネさんと。

七王国の玉座
2版で。これだけルールが簡単(で、ルールが読みやすい)地政学マルチもそうはない。その場インストでプレイできる貴重な作品である。だから淡白だというわけではなく、しっかりと濃密だ。プロット制なのでダウンタイムが縮減されているところも良い。惜しむらくは原作を読んでいないことで、世界設定もキャラクターもわからないので没入感は薄かった。3時間半かかって、7ラウンド目でサドンデス終了。



エミッサリー・クライシス
中華系正体隠匿特殊能力バンザイゲーム。とにかく曖昧な箇所が多いのでハウスルール必須。2回まわしたが、思ったほど盛り上がらなかった。ところで「メッセージ発信時に手札0枚で脱落した場合は、死亡能力が発動しない」というのは自殺によるキャラ特殊勝利を禁止するもので、脱落プレイヤー以外は通常通り他者死亡による能力発動を行なって良いと思われる。



エッセン2012新作会
つなきさん、オークボさん、たむらさんと。

サバービア×2
エッセン2012の伏兵。タイルを購入配置して自分の町をつくり、タイル能力によりお金と人口を稼いでいく。金収入(タイル購入に必要)から人口増加(勝利点)への切り替えをどのタイミングで行なっていくかが肝で、蒸気の時代拡張マップばかりつくっていた作者の真面目が発揮されている。特殊能力コンボ+拡大再生産系ではあるのだが、先行型も追い込み型も可能であり、ゲーム毎ランダムなボーナス条件ともあいまって、展開が実に多彩なところがまた素晴らしい。タイルの引き運が強めという向きもあるかも知れないが、個人的にはこのくらい緩い方が好みだ。



Copycat(ラクラク大統領うんたら)
とある戦術が強すぎるので壊れているんじゃないかとBGGで文句が出、それに作者フリーゼがいろいろと反論している。1回のみだがやってみた感想としては、フリーゼが正しいように思える。問題は、そういうこととは関係なしに、あまり面白くないということだ。このゲームは明らかにネタであり(批評と言った方がよいのならそうするが)、それを考慮して、いやむしろそれを中心にすえて鑑賞するものだとすれば、ネタを構成する必要不可欠な一部分として、この面白くなさがあるのだとするべきなのかも知れない。しかし面白いゲームを求めるひとにとって、それはほとんど詐欺のようなものだ。――もちろん以上はマニアの穿ちすぎた謬見にすぎず、世界は関係なくまわっていく。



第35回ビッグバントーナメント
詳しくはこちら
ビッグバントーナメント第三十五夜~ドゥーム怒りの逆襲

前回の悪夢にいまだにうなされる参加者たちは、回心を試みた。もはや泥濘に踏み込むまいと。神のゲームは神に返そうと。しかしいずれ、ひとはまた神をめざすだろう。

フィアスコ
シュタウペ1997年の作。要は坊主めくり的なパーティゲームなのだが、早上がりかガメるかの2択がうまく機能している。フィラーの見本。



ホットロッドクリープス
フードファイトやメチャスゴ魔法大戦のクリプトゾイック最新作はレースゲーム。ここの特色はアートワークを始めとしたコンポーネントが素晴らしいことに加え、そのアートワークに合ったハチャメチャ乗りでありながら、ゲームとしての面白さをしっかりと保っていること。この2つを両立させることがいかに困難かは、アメリカ中小パブリッシャーに突撃して死屍累々を築けばいやでもわかる。斬新なメカニクスを生み出そうなどという誘惑には目もくれないところも素晴らしい。そういうのは往々にして死屍累々の種となる。今作品も期待に違わず「遊んだ気にさせてくれる」度は抜群、なのだが過去作にも増してテキストが多いので、場所を選ぶかも知れない。


タイムライン発見編
箱からあの女の子を消したことで、日本版タイムラインは魅力の半分以上を失ったと言える。それはともかく、しみじみといいゲームだ。でも発見編はなんだこれな設問が多く、ドランカー向けなので最初にやるのはおすすめしない。